1万円とAさんとBさんの話をいじくってみた
くわしくはコレを見てもらうとして(ここが初出ではないと思うけど)、
こんなお話。
- AさんとBさんがいる世界がありました。Aさんは1万円持っていました。この時点で世界の富は1万円です。
- Bさんは1万円がほしかったので、Aさんのために家を作ってあげて、Aさんに1万円で売りました。
- Aさんは1万円の家を持っており、Bさんは1万円を持っています。この時点で世界の富は2万円になりました。
- 今度はAさんが1万円をほしくなり、Bさんのために家を作ってあげて、Bさんに1万円で売りました。
- AさんとBさんはそれぞれ1万円の家を持っており、Aさんが1万円を持っています。世界の富は3万円になりました。
- 繰り返せばどんどん富が増えるよ!だから、お金を儲けることに遠慮なんてしないで!
というお話。
まず、このお話から、お金に関わる部分を抜いてみましょう。
- AさんとBさんがいる世界がありました。この時点で世界には何もありません。
- BさんはAさんのために家を作ってあげました。
- Aさんは家を持っています。Bさんは何も持っていません。この時点で世界には家が1軒あります。
- 今度はAさんがBさんのために家を作ってあげました。
- AさんとBさんはそれぞれ1軒の家を持っています。世界には家が2軒あります。
- 繰り返せばどんどん家が増えるよ!
お話はちゃんと成り立ってますね。では次に、元のお話から、家に関わる部分を抜いてみましょう。
- AさんとBさんがいる世界がありました。Aさんが1万円持っていました。この時点で世界の富は1万円です。
- Bさんは1万円がほしくなりました。AさんはBさんに1万円をあげました。
- Aさんは何も持っていません。Bさんは1万円を持っています。この時点で世界の富は1万円になりました。
- 今度はAさんが1万円をほしくなりました。BさんはAさんに1万円をあげました。
- Aさんは1万円を持っています。Bさんは何も持っていません。この時点で世界の富は1万円になりました。
- 繰り返せば・・・
わざとらしいですが、大事なのはお互いのために家を作ってあげた、ってことですね。そこが抜けてはなんにもなりません。もちろん、お金が役に立たないわけではありません。それどころか、お金よりいい手段がなくて人間は何千年もお金を使っているわけです。つまり、元の話だけではお金の便利なところを説明しきれていないんですね。
お金のない世界ではこういう話になるかもしれません。
- AさんとBさんがいる世界がありました。この時点で世界には何もありません。
- BさんはAさんのために家を作りました。
- Aさんは家がほしくありません。
- ゲームオーバー
お金があったら、こんな風になったかもしれません。
- AさんとBさんとCさんがそれぞれ1万円を持っている世界がありました。この時点で世界の富は3万円です。
- Bさんは1万円ほしかったので家を作りました。その家はAさんの好みには合いませんでしたが、Cさんは気に入ったのでBさんは家をCさんに1万円で売りました。
- Cさんは1万円の家を持っており、Bさんは2万円、Aさんは1万円を持っています。この時点で世界の富は4万円になりました。
- 繰り返せば・・・
さらに、お店(というか不動産屋)があれば・・・
- AさんとBさんとお店がそれぞれ2万円を持っている世界がありました。この時点で世界の富は6万円です。
- Bさんはお金がほしかったので家を作りました。その家は1万円以上の価値がありそうな気がしましたが、買ってくれる人を探すのが面倒なのでお店に売ることにしました。
- お店の人は、その家なら1万円以上で売れると思ったので、Bさんから1万円で家を買いました。
- お店の人はAさんがその家を気に入ったことを知り、家をAさんに2万円で売りました。
- Aさんは2万円の家を持っており、Bさんとお店の人は3万円を持っています。この時点で世界の富は8万円になりました。
- 繰り返せば・・・
そろそろ元の話のシンプルさが失われてきましたので終わり。AさんがBさんにお金を貸したり、株券を発行したり、ニセ札を作ったり、国がお札を刷ったりしたらどうなるかも書いてみたいけど、ますますややこしくなりそう。しばらく寝かしてみる。